ざわめく深夜のTwiX、次元転送装置強奪事件の真相に迫る

執筆者: 獅子目霧子 | 

2024-02-04 17:25

サムネイル:ざわめく深夜のTwiX、次元転送装置強奪事件の真相に迫る

季節を分ける節分から日付も変わった深夜、一連の奇妙な投稿がTwiXのタイムラインを騒がせた。
謎の研究施設、次元転送装置の存在、響く銃声……
一般市民には全容がはっきりしないまま、警察署からはこれらと関連性があるとみられる指名手配の通達がなされた。
胡乱にも感じられるキーワードの数々は実際に起こっていたとある事件のさなかに投稿されていたものだったのだ。

ロスタイムズ情報局では独自のルートでこの事件の真相に迫ることに成功した。
情報提供者は事件の被害者でもある葉加瀬微郎氏。

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葉加瀬氏は部下とともに微生物の研究を行っている研究者だ。
その研究内容は独自性が極めて高く、得られた成果は分野の垣根を軽々しく飛び越えたものとなった。具体的には「世界の『歪み』の制御」および「次元を越えた移動を可能にする装置の開発」である。

施設に籠もりきりで行われた研究は順調に進み、遂に次元転送装置は完成した。
装置を手にした状態で何らかの乗り物に乗り込み、時速300kmに到達したとき、時空の狭間が開かれて別次元への移動が可能となるという。
使用するには条件を整える必要があったが、それでもこの発明は人類初の快挙であった。

装置の完成を喜ぶのも束の間、研究者たちの身に悲劇が起こった。
コヨフィオキネルと依城夜の2名が銃火器を携えて研究施設を強襲したのだ。
彼らは「次元転送者」を自称し、「ディメンションリセットの影響で自分たちの存在が消えてしまう前に元の世界に帰らなくてはならない」と語っていたという。
研究施設に侵入するや否や、容疑者2名は銃を乱射し、その凶弾を受けた研究員の2名が重症を負った。
容疑者2名は次元転送装置の強奪に成功した後、葉加瀬氏を人質として身柄を拘束したうえで海に飛び込み、逃走を図った。

対応に駆けつけた警察ヘリ4機の追跡も振り切り、容疑者2名は停泊していた空母へと逃げ込んだ。
空母は既に、主犯格とされるオキネルと依城のバックについていた半グレ集団「チーム沖田」の手によって占領されていた。
彼らは追跡してきた警察官たちを迎撃しつつ、空母に格納されていた戦闘機の強奪に成功した。
空母での激しい銃撃戦により、警察官にも負傷者が出たという。
主犯格のオキネルと依城は戦闘機に乗り込み、離陸。やがて時速300kmに到達したのであろうか、戦闘機は上空で激しい爆発を起こし、時空の狭間へと消えていった。

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この事件に関与した容疑者たちは記事を執筆している現在(2月4日現在)も指名手配犯として捜索の対象となっている。
空母を占領し警察を迎撃した「チーム沖田」のメンバーはともかく、次元を越えて逃走した容疑者たちを逮捕するのは困難を極めるだろう。

人類の科学の発展に大いに貢献する可能性があった葉加瀬氏の研究であったが、様々な事情により2月4日付で研究施設は閉鎖となる。
それに伴い、研究者たちは職を失う。もしかしたら路頭に迷うことになるのかもしれない。
しかし、この街は希望と未来に満ちている。
彼らは新たな人生のスタートラインに立ったばかりだ。

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