一人の為に捧げた祈り、「おあしす」新メニュー発売日の一幕
執筆者: 紫月零矢 |
2024-02-22 23:01

2月22日、にゃんにゃんにゃんで猫の日。
この日、ねこかふぇ「おあしす」では店員が心を込めて作った新メニューの販売が行われていた。
開店前からおあしす店舗前には多くの住民が訪れ、新メニュー販売は大盛況。
購入した人がつい笑顔になってしまうような可愛らしい店員モチーフのクッキー。
鏡餅のように二段に重なったクリームに癒されるクリームソーダ。
穂先が揺れるたびにちりん、と心地よい音を鳴らすねこじゃらし。
可愛らしい新商品を求めて多くの住民がおあしすを訪れた。
しかし、おあしすにとって2月22日は猫の日、新メニュー販売の日だけではない。
数々の新商品を開発してきたねこかふぇのメイド担当、冥途乃みやげ氏の誕生日でもあったのだ。
新メニューを販売しながら店頭に立つみやげ氏は暖かく誕生日を祝われていたのだが、
21時50分頃、事件は起こった。
ふと、カウンターからみやげ氏の姿が消えた。
…………そう、強制瞑想である。
本日の主役ともいうべき人物の喪失に店内は阿鼻叫喚。
どうにかみやげ氏を呼び戻そうと画策した従業員と来店者は儀式の決行を決意。
みやげ氏が直前に立っていたカウンターを囲み、怪しげな動きとともに祈りを捧げる。
来客とともに儀式の規模は拡大。
15から20名程度の住民が集まり、儀式を続ける。
しかし、10分、15分、20分……。
みやげ氏が戻る気配はない。
「22時30分に帰ってこなければ諦める」
そう誰かがつぶやき、長期に渡る儀式に疲労の色を見せていた参加者はそれに同意する。
そして、運命の22時30分。
終ぞ戻ることはないと思われたその時、奇跡は起こった。
カウンターで目覚める冥途乃みやげ氏。
諦めかけた矢先の出来事に店内は一時歓喜の声と拍手の音に包まれた。
無理かもしれない、そう諦めてしまいそうなことでも、諦めなければこんな奇跡も起きるのだろう。
みやげさん、お誕生日おめでとうございます。