虚空からの便り、11か月の沈黙を破る

執筆者: 舎捨 大 | 

2025-05-10 04:00

サムネイル:虚空からの便り、11か月の沈黙を破る

2025年5月10日1:20、TwiXに一件の投稿が上がった。

「虚空新聞更新したよ!」

虚空新聞といえば、スマートフォンの「虚空新聞」アプリで閲覧することができる虚実ないまぜの情報が跋扈する匿名ニュースである。
…はずなのだが、実際には昨年6月頃の投稿を最後に一切の更新がなかった、まさに存在そのものが虚であったアプリである。

そんな虚空新聞が突然、息を吹き返した。

なぜ突然復活したのか。投稿者はいったい誰なのか。
色めきだった情報局員一同は、すぐさま虚空新聞のアカウントに直接アポイントを試みたが、相手からの反応は無しのつぶて。
それならばと足を使って情報を得るべく、投稿された虚空新聞の記事から導き出される人物や場所に取材に向かうことにした。

虚空新聞に投稿された記事の概要はこうだ。
「警察官T氏が女性に酒を飲ませて泥酔させ、車に押し込み交通事故を起こし、その女性は病院に搬送された」
記事自体も衝撃的だが、所詮は「虚空新聞」。
記事の内容はもとより、なぜ今虚空新聞が動き出したのかが我々の調査すべき点である。

まず投稿された写真から調査を開始。非常に画質が悪かったが、なんとか人物を特定した。
当時の話を聞きに行くも「当時は泥酔のため意識が混濁しており詳しいことはわからない」との答えだった。

続いて搬送された病院に向かい、その場にいた救急隊のK氏①とK氏②に話を聞いた。
しかしながら救急隊は「交通事故の現場に向かって搬送したに過ぎず、投稿のあった現地にはいなかったため詳細は応えられない」との回答。

最後に向かったのは現場となった警察本署。
しかし訪問時間も遅く、警察に勤務していたのは警官H氏一名のみであった。
H氏にも話を聞いたが「当時別の事件対応に向かっており、当時誰が現場にいたかわからない」としながらも、今回の事件については「今回のことが事実であるならば気を引き締めて職務に当たらないといけない」と思いをつづった。

今回の調査では様々な情報や有力な投稿者候補を絞り込むことはできたが、残念ながら公にできるような確証ある情報を得ることはできなかった。

虚実定かではないとはいえ、我々情報局と同じく情報を扱う「虚空新聞」。
なぜ今になって突然動き始めたのか。
いったい誰がその投稿者なのか。

常に「真実」を取り扱う我々は、引き続き「虚空新聞」の本当の姿を明るみにするため、調査を続けていく。

(執筆:舎捨)

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