【過去最大数ダウン】1周年記念登頂【デスマウンテンデス】
執筆者: 9.14同期組 文水文果 |
2025-09-15 02:00

昨年9月、この街に大勢の新規住民が訪れた。
彼らはお互いを同期と呼び無線番号9.14のもとへ集まり日々楽しく時に支え合い1年を過ごしてきた。
彼らは自分たちをこう呼んだ
「9.14同期組」と…
そしてついに「9.14同期組」は1周年を迎えた。
1周年を記念し9月14日21時頃から集結をはじめ、何を思ったか一輪車でデスマウンテンの麓を目指した。
独特な走行技術を駆使し、高速道路を一輪車で駆け抜ける集団。
その様は事情を知らない者を恐怖させるものだったことだろう。
彼らは北の街へたどり着くと一輪車を停め、自らの足でデスマウンテンことチリアド山の頂上を目指した。
急勾配にも危険な崖にも負けることなく頂上へたどり着いた彼らは、意を決してパラシュートを身に着けた。
眼前に広がるは晴天の空と足元へ広がる北の街並み。
しばしの空中散歩を楽しもう。
皆一斉に桟橋を助走をつけて飛び立った。
次の瞬間事件は起きた。
パラシュートが開かない。
その先は想像に難くない。
次々と岩場へと吸い込まれていく同期たち。
もちろん、私もそのうちの一人であった。
急な崖に響く悲しきうめき声。
無線には遅れてやってきた同期達が状況をつかめずに困惑している声が響いていた。
かくして、9.14同期組によるデスマウンテン登頂及びパラシュートによる帰還計画は、救急隊ヘリ3台が出動する大型事故となった。
救急隊員からはこう語られた。
「デスマウンテンでの事故史上、最大規模です」と。
事故当事者らからは
「来年はもっとうまくやります」と強い決意が語られ、彼らの1周年を祝う一大イベントは幕を閉じた。